今年に入ってから、ロイヤルティと云う言葉をよく耳にする。この言葉を聞くと、昔先輩に言われたことを思い出したり、最近気づいた面白いことを頭に浮かべたりする。先輩から「カタカナ表記では同じロイヤルティだが、英語ではLとRのロイヤルティがあり、明確な違いがあるが知っているか。」と言われた。勿論、初耳だったし、英語は堪能でなかったので当然知らなかった。Lのロイヤルティは「忠実・忠誠心が基本」でブランドロイヤルティなどとして使っている。一方、Rのロイヤルティは「権利料が基本」で作家の著作権料、商標権料、特許権料などの知的財産権の使用料として使っているのだと教えられた。頭の中では混乱していたが、それまでは文脈の中で無意識に使い分けていたようだ。

ロイヤルティの話

最近気づいたもう一つの発見は、Lの話である。一般に学者、研究者を中心とした学術分野ではロイヤルティと表現され、広告やマーケティング分野の実務者の間ではロイヤリティと表現されていることである。今まで、ルとリの区別を違和感なく読んでいて、会社の企画書ではロイヤリティと表記し、雑誌等への寄稿ではロイヤルティと書き、なんとなく区別していた気がする。今回は、ロイヤルティで統一していくことにする。

さて、ロイヤルティの言葉としての話はここまでとして、その構築方法について日々考えていることに話を進めよう。コミュニケーションの分野ではロイヤルティはブランドロイヤルティが代表しているので、ブランドロイヤルティとして話を進めていく。

ブランドロイヤルティは、そもそも顧客が代替となるブランドが他にもあるにもかかわらず、ある特定のブランドを一定期間買い続ける心理をいう。ブランドロイヤルティを形成するためには「製品特性+販売店(店員、店舗)+顧客間の評価」の3つの要素が必要とされる。この3つの要素が複合的に重なり、顧客の中に信頼を根付かせることがブランドロイヤルティ構築である。中でも最も重要な要素が「使って良かった」と顧客に思わせる「製品特性」である。「製品特性」が悪ければ、ブランドロイヤルティ形成のスタートラインに立てない。その他の要素については、販売店=店舗外観や接客態度に、顧客間の評価=広告宣伝やクチコミに左右されるため、それぞれ投下する費用によって形成度合いは変化してくる。

この3要素と顧客の関係は、つながる場面があるという事である。企業は売上拡大のためにつながる場面を提供せざるを得ないし、つながったら顧客との信頼関係を向上させねばならない。つながる場面の対応がリテンションであり、効果効率的な運用をすることがマーケティングである。

筆者プロフィール
伊藤 博永(いとう ひろなが)
1993年3月  株式会社旭通信社(現:株式会社ADK)入社
2001年4月  株式会社価値総研取締役
2009年4月  株式会社ADKダイアログ代表取締役
2012年1月  アディック株式会社取締役(現任)
2015年9月  日本リテンション・マーケティング協会理事(現任)

お問合せ先 一般社団法人 日本リテンション・マーケティング協会事務局