今から20年ほど前、外資系企業のマーケッターから「レレバンス」という言葉を初めて聞いた。耳慣れない言葉だったので意味を聞いたところ、「関連性」「自分事化」「つながり」と顧客との関係性を語る言葉だと教えられた。それまでは顧客との関係性のことを語る時、リレーションシップという言葉を使っていたし、その言葉しか知らなかった。そういえばCRMという概念が流行り、リレーションシップが注目されたのもこの頃だった。近年、顧客とのつながりが重要視されるにつれて、「保持」「維持」「記憶」を意味するリテンションという言葉が聞こえ始め、リテンション・マーケティングなる概念もたびたび耳にするようになってきた。市場が成熟したり、市場が縮小したりしていく時、今まで獲得してきた顧客こそ安定的な利益を確保してくれる大切な存在であるというマーケティング戦略がリテンション・マーケティング。2017年はこのマーケティング戦略が本格的に稼働すると言われている。

Rの時代がやってきた

マーケティング費用の効率的運用が必要となった今、既存顧客から獲得する利益と新規顧客から獲得する利益が同額として比較すると、既存顧客からあげる方がマーケティング費用は5分の1で済む(ベイン・アンド・カンパニー代表のライクヘルドが発表した論文)からである。

同時に、ネットの活用によりダイレクトマーケティングが一般的してきて、レスポンス(反応率)やリターン(回収率)と云う数値も簡単に把握できるようになってきた。時代や社会が変化し始めると様々な言葉が流行るが、どうやら21世紀は頭文字にRがつく時代となりそうだ。

レレバンス;Relevance、リレーションシップ;Relationship、リテンション;Retention、 レスポンス;Response、リターン;Return

筆者プロフィール
伊藤 博永(いとう ひろなが)
1993年3月  株式会社旭通信社(現:株式会社ADK)入社
2001年4月  株式会社価値総研取締役
2009年4月  株式会社ADKダイアログ代表取締役
2012年1月  アディック株式会社取締役(現任)
2015年9月  日本リテンション・マーケティング協会理事(現任)

お問合せ先 一般社団法人 日本リテンション・マーケティング協会事務局