本コラムの連載を始めたのは2017年からである。最初の原稿は「Rの時代が始まる」と題して、レレバンス、リレーションシップ、リテンション、レスポンス、リターンが重要視される時代が訪れると書いたのを覚えている。なぜこの「Rの時代」のことを思い出したかというと、弊協会の定例セミナーでリテンションマーケティングの手順や展開について話しているときに、やたら頭文字にCがつく単語が頻繁に出てくることに気づいたからである。定例セミナーで話していたことの要点をまとめてみよう。 リテンションマーケティングの最初のステップとしてメーカーサイドがやらなくてはならない事は、顧客の属性を規定するカスタマイゼーションである。顧客属性を規定した後のステップは、関係性を継続していくために接触すること。令和になって世間で話題になり、自動車業界で喧伝されているコネクテッドが必要である。しかし繋がるだけでは進展しないので、関係性をより強く深くすることが次のステップとして必須。メーカーサイドから伝えたい内容を連絡し、顧客に受け入れてもらい関係性を良好にこと、これがコンタクトである。ここまでの手順が実行されたら、次が最も重要なコミュニケーションとなる。顧客と話し合うこと、忌憚なく腹蔵なく話し合うことができれば、顧客との絆は深まっていく。では、絆を深めるために注意しなければならないことは・・
頭文字はC
顧客とのコミュニケーションの内容を深く耕していくことである。これがカルティベーション。顧客の望む情報やインセンティブを提供していく。ただしこの時に顧客に耳触りの良い情報とか、お得な割引インセンティブばかりだと、深耕ではなく上滑りな販売促進になってしまうので注意が必要である。顧客とスムーズなコミュニケーションができるようになった時に重要なことは、テクニックやノウハウでなく顧客のことをおもんばかるケアの心である。顧客にとってどんな役に立てられるのか、顧客のどんな生活を支えていくのか、顧客にどんな利便性を与えてあげられるのかを、明確に把握して顧客に寄り添うこと。これがケアの肝である。そして、リテンションマーケティングの手順・展開の成果は何で評価するのか?
成果は最終的に自社の商品が選択され、購入されることである。チョイスされ購入されること。もうお気づきになったであろうが、顧客既定のカスタマイゼーションから商品選択のチョイスまで、すべての頭文字はCで始まっている。リテンションマーケティングを実行していく上で、「頭文字はC」を唱えながら手順・展開を実施して行けば、成果を獲得する近道である。定例セミナーでの雑談から気づいたこと、それが「頭文字はC」である。
筆者プロフィール
伊藤 博永(いとう ひろなが)
1993年3月 株式会社旭通信社(現:株式会社ADK)入社
2001年4月 株式会社価値総研取締役
2009年4月 株式会社ADKダイアログ代表取締役
2012年1月 アディック株式会社取締役(現任)
2015年9月 日本リテンション・マーケティング協会理事(現任)
お問合せ先 一般社団法人 日本リテンション・マーケティング協会事務局